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富士ゼロックスにおけるe-Learningイノベーション -- コンピテンシー・マネジメントとe-Learningの統合 -- Part 1
富士ゼロックス総合教育研究所 代表取締役社長 鈴木 信成


e-Learningのモチベーションを高めるコンピテンシー・マネジメント

e-Learning最大のメリットは、多数の人材をいっせいに教育できることです。ROIを考えれば効果の高いシステムですが、一方では、モチベーションをなかなか保てない、という最大の欠点もあります。それをカバーするために、富士ゼロックスはe-Learningをコンピテンシー・マネジメントと組み合わせることにしました。

富士ゼロックスでは1999年よりコンピテンシー・マネジメントを導入しており、社員個々のコンピテンシーレベルが明らかになっています。自分は何を強化しなくてはならないか、各人が明確に認識しているため、その部分がe-Learningのモチベーションになると富士ゼロックスは考えたのです。

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e-Learning検討から活用へ

e-Learningという言葉が生まれたのは2001年です。当時は言葉が先行し、企業もe-Learningをどう活用すればよいかわからないという状況でした。

そこで、富士ゼロックスはまず、大手を担当するカンパニーの営業部隊100名を対象に実験を行いました。ASP形式を採用し、コンテンツは財務関連知識などのビジネスベーシックリテラシーと、アプリケーションの基礎知識などITベーシックリテラシーを導入しました。

その結果、WBT(Web Based Training)はおおむね受講者に受け入れられ、学習を阻害する要因は基本的にない、ということがわかりました。問題はどう仕組み化するかということです。


営業部門におけるe-Learning


2002年から、営業部門では上図のような仕組みでe-Learningを活用しています。

全社員必須の教育、例えば情報セキュリティ教育はビデオと文章で学習し、事前テストと事後テストで理解度をチェックする形です。また、シスアドや電子ファイリングなどの資格取得支援、CD-ROMの貸し出しサービスなども行っています。

ストリーミング配信サービスとしては、集合研修形態のオープン講座をビデオとスライドで配信しています。なお、ストリーミング・ソフトとしてはマイクロソフト社のプロデューサーなどがありますが、富士ゼロックスは短期間・低コスト・高品位でe-Learningシステムを実現するオリジナルのソフト「MediaDEPO」を開発・活用しています。
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e-Learning導入のポイント

富士ゼロックスの経験から、e-Learning導入のポイントを挙げると次のようになると思います。

■よりよいコースを選択できる仕組みづくり

通常、ASP形式ではコンテンツの提供元が利用者のデータベースを持ちますが、受講履歴やアンケートはe-Learningのキーとなるところです。そこで、富士ゼロックスはその部分のシステムをまったく手づくりで構築し、過去に受講した人のリストとコースに対する評価を公開しています。

つまり、どのコースが良かったか、どこを改善してほしいかなど、過去の受講者の率直なコメントを参考に、これから受講する人がよりよいコースを選択できるわけです。この仕組みによって、コースの自然淘汰がなされているといえます。

■完了率を高める仕組みづくり

自由選択コースについては、受講者が3か月以内にコースを修了できるよう、事務局から数回のフォローメールを出しており、これをメンタリングと呼んでいます。

特に3日前フォローでは、「ギブアップすると部門付け替えになります」という文面を入れています。このコースの費用は修了すれば教育部門が全額負担することになっていますが、途中で放棄した場合は各部課に付け替えられ、部課が負担する仕組みになっているのです。修了できなければ上司から一言あるでしょうし、これが良い意味でのプレッシャーになっています。

現在、コース完了率は85%弱です。クラスルーム・ラーニングと異なり、拘束力のないe-Learningでこれだけ数字が高いのは、このような仕組みづくりと、何よりもコンピテンシーマネジメントをベースにしたからだといえます。

e-Learningによって、営業部隊のコンピテンシーはわずかではありますがトータルでレベルアップしました。2003年度は営業部門の重点戦略として、人材コンピテンシーレベルの向上を明確に掲げています。専門職制度で1-5に設定したコンピテンシーレベルでは現在、レベル3以上が50%なのですが、これを年度末に62%に、レベル4以上を5.7%から7%、さらには2005年までに17%にすることを目指しており、その手段としてe-Learningを位置づけています。

ただし、コミュニケーションなどのビジネススキルについては、e-Learningではなかなか納得のいくものが得られないのも事実です。今後は、インターパーソナル(対人関係の)分野をさらに充実させていかなければならないと私たちは認識しています。

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※次回は、e-Learningを効果的な人材育成に結びつけるソフトウェア「C2MS」や、
インターパーソナルスキルの教育プログラムなどについてご紹介します。
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